第10章・ことじの悲しみ

第10章・ことじの悲しみ

わが国は、1931年(昭和7年)の満州事変を皮切りに大陸での侵略拡大を本格化させ、その 翌年に関東軍の絶大な援護によって建国された満州国が、《日本の本土及び朝鮮半島(当時 の支配下)の防衛と大陸利権確保のために作られた傀…

第9章・土屋華章の珍客

第9章・土屋華章の珍客

《この家の主人は土屋華章という人品のいい老人だが、二十五歳のとき金剛砂を使ってモ ーターで水晶に加工することを発明した。今までに弟子を百人ばかり育てている。(中略)三人 の職人がシナの仏像写真を前に置き、大体その感じを出…

第8章・ことじの自慢

第8章・ことじの自慢

『あぁーいい湯だった♪』 『!?・・・・・・・・・』 手ぬぐい片手の一糸まとわぬ格好で、廊下を涼しげに歩くことじ。住み込みの若い弟子職たち の夕餉の手は止まり、茶碗と箸を手に持った持ったまま、目線は釘つ゛けとなって廊下を…

第7章・ことじの秘密

第7章・ことじの秘密

第一次世界大戦終結と共に押し寄せてきた不況にあえぐ日本経済とは相反して、1920年代 の米国は大戦への輸出で発展した重工業投資や帰還兵による消費の拡張、そして何よりモ ータリゼーションのスタートで自動車工業が飛躍的に発展…